ママドール 店長ブログ

タグ:引退興行

昨日帰り道にYOUTUBEで川田利明さんのインタビュー動画を観てて思ったんですが、引退することができることの幸せってあるんだろうな、と思ったんですよ。



試合を観ていた当時からはそうぞうもつかないほど温和な表情でしたがそれでも現役当時のぶっきらぼうですが温かみのある接客でした。

今も「引退」という言葉は使ってないのでなんとも言えませんがそれでも多分もうリングに上がることはないでしょう。
リング上での事故で亡くなられた三沢さんをずっと追いかけていた選手でしたから目標というか、追いかける対象がいなくなった時点で気力がなくなってしまったのかもしれません。

しかし、レスラーを止めても人生は続くわけで、何かしらの商売なり、仕事なりをして収入を得なくてはなりません。

よく野球バカとか言われるように若いころからひとつの競技の世界にいると世間知らずに陥りやすいというのは真理だと思います。
結果良いように使われて人生奈落の底まで堕ちていく…なんてのもよくある話。

なにもない状態から飲食店の修業をしてお店をだし、しっかりと運営してらっしゃるんだからすごいなと思います。

引退して次に進むことができるって大変だけど幸せな事なんじゃないかと思わずにはいられなかったのです。

さて、今回は前回の件(スーパーストロングマシンの引退興行の話)からちょっと思ったことを。

これまでレスラーの引退後って実はあまり幸せな感じがしなかったですよね。
ま、それはプロレスに限らず、スポーツ選手の引退後っていう風に話をひろげても同じようなニュアンスで物語れるかもしれません。

プロの選手はその人生をほとんど競技に捧げてきたワケで、正直社会人としての常識や規範などは欠落していたりするのではないでしょうか。

例えば昨今の清原選手の逮捕しかり、華々しい現役であればあるほどその落差は大きいように思います。

それらの前例を知ってか知らずかJリーグではセカンドキャリアをどうするか、そのための施設を設立、若くして引退を余儀なくされた選手たちのセカンドキャリアが、たとえ華々しいものではなくても生活するための様々な手助けを行っています。
Jリーグの取り組みについて


プロ野球では引退した選手が危機感を持ち、引退した選手のために次のステップを紹介する会社を設立したかのように記憶しています。
またソフトバンクも選手たちのセカンドキャリアのための会社を立ち上げています。

プロレスにおいても故人である三沢選手が団体を超えた選手会の設立に尽力された経緯がありますが、新日本プロレスが反対したため、業界全体の足並みがそろわずに停滞しているような話があったような気がします。

その後三沢さんが亡くなられたことにより再度動きが活発化したものの、それでも頓挫したのかなかなかその後のニュースが流れていないような気がします。

引退しても行き先が無いのであればまた復活と称してリングに戻ってくるなどのことが行われますが、引退後の往年の名選手が怪我したりするのを観るのはファンとして忍びないと思うのです。

引退後もその業界に残れるのは一握りの人気選手だったりするのでしょう。
アフターケアのない選手は自らの出資で会社や飲食店を立ち上げます。

うまくいくならいいですが、中にはどうにもならないような失敗をしてしまい、身を持ち崩してしまうような事案も多々あると聞きます。

レスラーであったり、プロ野球選手であったりするのが人生の大半だとしても、人として生まれてきたその人生は人として死ぬための道に戻ってくるでしょう。

しかし、人として死ぬためには人として生きていかなければなりません。
セカンドキャリアが成功しても失敗しても、生きていかなければならないその人生を、協会なり機構なりが支えてあげなければならないのではないでしょうか。

もちろん甘やかすのではなく、厳しい道だとしても構わないと思うのです。
当事者たちにとっては厳しい試練の道でしょうから「ふざけんな」と言われてしまうかもしれません。

それでも。

それでも彼ら、彼女らには選手として舞台に立ち、観衆を沸かせたヒーローであり続けて欲しいと思うのです。
彼らの一挙手一投足に、胸をワクワクさせながら応援したファンがいる限り、彼らにはずっとずっとヒーローであってほしいと思うのです。

残酷でしょうか。

それでも。

それでも、犯罪を犯して収監されていく人気選手たちの末期に、あの日声援を送ったファンの思いはどこへ行ってしまうのかと思うと、僕はいたたまれなくなるのです。

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球場であれ、リングであれ、ファンの前で勇躍したその姿が誰か一人でもファンの心にあるなら、そのファンが悲嘆にくれるようなセカンドキャリアは歩んでほしくないのです。

さて、今回は先日行われたスーパーストロングマシンの引退興行の話(於:後楽園ホール)です。

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正直な話、ここまで長きにわたって活動するとは思ってもみませんでした。
今回は引退興行ということもあり会場に足を運んだのですが、いつもの会場とは客層が異なっているような印象も受けましたね。

レスラーとしての人気、愛嬌など、これまで長くやってきた要因は多々あると思うのですが、なによりも彼の愚直なまでの真面目さ、これにつきるのではないかと思います。

時代の移り変わりもあって以前のように第一線で活躍することはかなわず、また新たな新興勢力、軍団やユニットの発生によって「マシン軍団」であることの必要性もなくなってしまいました。

いってみれば「過去の遺物」と成り果ててしまったのかもしれません。
それでも新日本プロレスの一時代を担った存在であることには変わりありません。

マスクマンという時点で陰の存在として脚光を浴びてもそれは「彼」ではなく、あくまでも「スーパーストロングマシン」です。
一抹の不安も寂しさも、彼の中でどのように胸の内に沈めていったのでしょうか。

興味は尽きません。

選手としての「彼」もきっと愛されていたのでしょう。メインイベントは迫力も笑いもある新たな門出を迎えるにふさわしい試合だったのではないでしょうか。

事故やトラブル、損傷も多々あったかとは思いますが、それでも無事に引退を迎えることができたのは本当に、本当に喜ばしいことだと思います。

長い期間、戦いの場に身を置き切磋琢磨されたこと、本当にお疲れ様でした。

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今回も女子プロレスについてです。

様々な事件をおこした女子プロレスの中でもっとも最近のもので陰惨なものといえば世Ⅳ虎選手と安川悪斗選手の遺恨マッチでしょうか。

この試合は(というか試合の体をなしていませんが)、そのはじまりから終わりまで一体何をしたかったのか理解に苦しむ試合でした。



安川選手は顔面骨折し、試合終了後には明らかに顔のカタチが変形氏してしまい見る者の背中に悪寒を走らせずにはいられないほどでした。

リングは公開私刑のような様相を呈し、会場には泣き叫ぶファンの声が聞こえ、主催者側は最後の最後まで止めることもせず、レフェリーはいないにも等しい状況で、剣呑な空気に包まれた会場はなにをどうすることも出来ない、後味の悪さだけを残すものと成り果ててしまったのです。

結果、安川選手は眼下底骨折、網膜剥離などにより長期欠場、引退となり、世Ⅳ虎選手も無期限出場停止、一時は引退という羽目に陥ってしまいます。

どっちが正しくてどっちが間違っているか、ではなく、興業としてお客様に魅せる試合を提供するのがプロレス団体の「商品」ではないかと思うとき、その善悪はもはや問題ではなくなってしまったのです。

安川選手にはそれまでの人生での様々な困難から立ち向かい、リング上に立ち続ける限りは応援したいと思っていましたし、世Ⅳ虎選手は若く、スターダムという団体の旗揚げからの辛苦を知る数少ない存在でもあり、これからに期待のかかる存在になるかならないかの大切な時期だと思っていたので彼女の人生を思うととても残念な思いにかられました。

自分はプロレスの試合において、大雑把な意見ですが勝敗はあまり重要視していません。
むしろ負けても必死に立ち向かう姿に自らを重ねて応援し、何度も何度も倒されても、それでも立ち上がる姿に涙交じりの声援を送るのです。

彼らは「闘うからすごい」のではなく、ましてや「勝った」から偉いのでもありません。
相手の技を受け、思いを受け、苦痛に悶絶し時に失神しながらも、それでも強大な敵に、或いは雌雄を決するべきライバルに、立ち向かう姿を魅せてくれるから感動し、賞賛を得ることができるのではないでしょうか。

そういう意味ではこの戦い、会場では誰も勝者たりえず、敗者ですらありえず、何も生み出すことのできない漆黒の闇のようなものではなかったかと思うのです。

果たして両者はその後別々の道をたどることになります。

安川選手は自らの半生を描いた作品が制作、公開されます。


世Ⅳ虎選手は様々な苦悩を抱えながらも再びリングに立つ道を選びます。
どっちが正しいとか正しくないとか、そんなことは今出せる答えと10年後に思うこととでは隔たりがあるでしょう。

ふたりがどうなっていくのかは本人たちにしかわからないことです。
再び本人たちが出会うとしても、二度と出会わなくても、10年後に思いを馳せることにしましょう。

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